この講座の使い方
7日間で古文常識をひと通り仕上げるための地図
古文常識とは、単語や文法のように「訳すための道具」ではなく、作品の背景知識そのものを指します。GMARCHレベルの入試では、リード文や注釈で作品名・作者・成立時代が問われたり、本文の内容が「誰と誰の恋愛か」「どんな官職の話か」を知っているかどうかで読解のスピードが大きく変わったりします。つまり古文常識は、読解を助ける前提知識であると同時に、それ自体が得点源になる分野です。
7日間の構成は、配点比重の大きい文学史を前半3日にまとめ、後半3日で制度・生活常識を固め、最終日に全範囲を横断する総復習を置いています。1日30〜40分を目安に、講義パートを読んでから復習問題を解いてください。Day2以降は前日までの累積復習も付けているので、忘れかけた頃にもう一度触れる設計になっています。
作品名を単独で覚えるより、「誰が」「いつ頃」「何を」「どんな文体で」書いたかをワンセットの物語として覚えると定着します。各日の講義パートはそのために書いています。表は試験直前の見直し用、問題は理解の確認用として使ってください。
物語文学の系譜
竹取物語から源氏物語、そしてその後の擬古物語まで
今日のゴール
- 「作り物語」と「歌物語」の違いを説明できる
- 源氏物語を中心に、その前後の物語文学の流れを時系列で言える
- 竹取物語・伊勢物語・源氏物語の基本情報(作者・成立時期・内容の要点)を即答できる
物語文学は二つの流れから始まる
平安時代の物語文学は、大きく分けて二つの流れから生まれました。一つは、空想的な事件を筋立てて語る作り物語。もう一つは、和歌を中心に短いエピソードを積み重ねる歌物語です。この二つが後に源氏物語で融合し、王朝物語という頂点を作ります。まずはこの大枠を押さえてください。
竹取物語―物語の出で来はじめの祖
現存する日本最古の物語とされるのが竹取物語です。竹の中から生まれたかぐや姫が、五人の貴公子と帝からの求婚をすべて退け、最後は月へと帰っていく、という筋書きは知っている人も多いでしょう。源氏物語の中で「物語の出で来はじめの祖」と評されており、後のあらゆる物語のルーツとして位置づけられている点が入試でも問われます。
伊勢物語・大和物語―歌物語という形式
伊勢物語は「昔、男ありけり」という書き出しで知られる、和歌とその成立事情(詞書)を核にした短い章段の集まりです。主人公の「昔男」は、歌人・在原業平がモデルとされています。同じ歌物語の系統には、より説話的な色合いが強い大和物語や、平貞文がモデルとされる平中物語もあります。歌物語は一貫した長編の筋を持たず、和歌を軸にした小さな物語の集合体である、という点が作り物語との大きな違いです。
宇津保物語・落窪物語―長編化していく作り物語
宇津保物語は現存する最古の長編物語とされ、俊蔭の一族に伝わる琴(きん)の秘曲をめぐる物語です。落窪物語は、継母にいじめられる娘が最終的に幸せをつかむという、いわゆる「継子いじめ物語」の代表格で、シンデレラ型の物語として紹介されることもあります。これらは源氏物語に先行して、作り物語を長編化・写実化していった作品として押さえておきましょう。
源氏物語―王朝物語の到達点
作り物語の空想性と歌物語の抒情性、さらに日記的な心理描写までを統合したのが源氏物語です。主人公・光源氏の栄華と苦悩を描く前半部、光源氏の晩年を描く部分、そして光源氏の死後、子孫たちの物語を宇治を舞台に描く「宇治十帖」まで、全54帖からなる大長編です。作者は中宮彰子に仕えた女房・紫式部。「もののあはれ」という美意識を体現する作品として、日本文学史上最も重要な位置を占めます。
源氏物語のあとに続く物語たち
源氏物語の完成度が高すぎたために、以降の物語文学は源氏物語を手本にする擬古物語という形で書き継がれていきます。狭衣物語や浜松中納言物語などがその代表です。また鎌倉時代には、男女が入れ替わって成長するとりかへばや物語のような変わり種も生まれました。物語文学そのものを論じた最初の評論書とされる無名草子(鎌倉初期)も、物語史を俯瞰する際によく引用される作品です。
| 作品名 | 分類 | 成立 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 竹取物語 | 作り物語 | 9世紀末〜10世紀初 | 現存最古の物語。「物語の出で来はじめの祖」 |
| 伊勢物語 | 歌物語 | 10世紀前半 | 「昔、男ありけり」。在原業平がモデル |
| 大和物語 | 歌物語 | 10世紀中頃 | 伊勢物語より説話性が強い |
| 平中物語 | 歌物語 | 10世紀前半 | 平貞文がモデル |
| 宇津保物語 | 作り物語 | 10世紀後半 | 現存最古の長編物語。琴の秘曲が軸 |
| 落窪物語 | 作り物語 | 10世紀末 | 継子いじめ物語の代表 |
| 源氏物語 | 作り物語(王朝物語) | 11世紀初頭 | 紫式部。全54帖。「もののあはれ」 |
| 狭衣物語・浜松中納言物語 | 擬古物語 | 11世紀後半 | 源氏物語を手本にした後続作品 |
| とりかへばや物語 | 擬古物語 | 平安末〜鎌倉初 | 男女入れ替わりの物語 |
| 無名草子 | 物語評論 | 鎌倉初期 | 現存最古の物語評論書 |
作り物語 と 歌物語 の違い
源氏物語はこの両方の性質を統合した作品、という位置づけで理解しておくと、「なぜ源氏物語が特別なのか」を説明できるようになります。
復習問題 全10問
Q1「物語の出で来はじめの祖」と評される、現存最古の物語は何か。
Q2「昔、男ありけり」で始まる歌物語の題名と、主人公のモデルとされる歌人を答えよ。
Q3源氏物語の作者は誰か。また、その作者が仕えた中宮は誰か。
Q4源氏物語は全何帖からなるか。また、光源氏の死後を描く最後の部分は何と呼ばれるか。
Q5継母にいじめられる娘が最終的に幸せになる、いわゆる継子いじめ物語の代表作は何か。
Q6現存する最古の長編物語とされ、琴の秘曲の伝授を軸とする作品は何か。
Q7次のうち、歌物語に分類されるものをすべて選べ。
①竹取物語 ②伊勢物語 ③大和物語 ④源氏物語
Q8源氏物語に代表される王朝物語の美意識を象徴する言葉を答えよ。
Q9男女が入れ替わって成長していく鎌倉時代の物語は何か。
Q10次の記述のうち正しいものを選べ。
①作り物語は和歌を核にした短編の集合体である ②歌物語は一貫した長編の筋を持つのが特徴である ③源氏物語は作り物語と歌物語双方の性質を統合した作品と位置づけられる
日記文学・三大随筆
土佐日記から更級日記へ、そして枕草子・方丈記・徒然草の比較
今日のゴール
- 平安女流日記文学の代表作を成立順に説明できる
- 三大随筆(枕草子・方丈記・徒然草)を作者・文体・思想で比較できる
- 「日記文学」と「随筆」の違いを説明できる
日記文学のはじまり―男性が女性のふりをした理由
平安時代の「日記」は、事務的な記録ではなく、自分の心情を仮名文でつづる文学ジャンルでした。その最初の一歩を踏み出したのが、歌人・紀貫之による土佐日記(935年頃)です。当時、公的な漢文日記は男性が書くものとされていたため、貫之は「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」という一文で、女性に仮託して仮名文で書くという体裁をとりました。土佐から京へ帰る旅の記録という体裁の中に、亡くなった娘への哀惜などの感情が織り込まれています。
女性による自照的な日記へ
土佐日記のあと、実際に女性の手による日記文学が次々と生まれます。蜻蛉日記(藤原道綱母、10世紀後半)は、夫・藤原兼家との不安定な結婚生活の苦悩を赤裸々に描いた、女性による最初の本格的な自照文学とされます。和泉式部日記は、和泉式部と敦道親王との恋愛を、和歌のやり取りを軸に物語風に描いた作品です。紫式部日記は、中宮彰子の出産などの宮廷生活の記録に加え、清少納言への辛辣な人物評があることでも知られています。
回想録としての日記―更級日記
更級日記(菅原孝標女、1060年頃)は、物語(とりわけ源氏物語)に憧れる少女時代から、宮仕え、結婚、夫との死別を経て、晩年に至るまでを回想する自伝的な日記です。少女時代の「源氏物語をひたすら読みたい」という願望が印象的に描かれ、当時の物語文学の受容のされ方を知る資料としても重要です。鎌倉時代には、所領をめぐる訴訟のために京から鎌倉へ下る道中を描いた十六夜日記(阿仏尼)のような紀行的日記も生まれます。
三大随筆―同じ「随筆」でもこれだけ違う
随筆は日記と異なり、日々の出来事の記録という枠にとらわれず、思いついたことを自由に書き連ねるジャンルです。特に重要な三作品を「三大随筆」と呼びます。
枕草子(清少納言、11世紀初頭)は、中宮定子に仕えた体験をもとに、鋭い観察眼で宮廷生活の美や滑稽を描きます。「春はあけぼの」のような自然観察の章段、宮中でのエピソードを記す日記的章段、「にくきもの」のような分類列挙の章段など多彩な章段からなり、貫かれているのは「をかし」という明るく知的な美意識です。
方丈記(鴨長明、1212年)は、安元の大火・治承の辻風・福原遷都・養和の飢饉・元暦の大地震という五つの災厄の記録から始まり、後半では出家後に方丈(一丈四方)の庵にこもった閑居生活を描きます。仏教的な無常観が全編を貫いています。
徒然草(兼好法師〈吉田兼好〉、14世紀前半)は、「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて」という書き出しで知られ、無常観を基調にしつつも、処世訓・美意識・滑稽譚など話題は非常に多岐にわたります。三大随筆の中では最も話題が雑多で実用的な色合いが強い点が特徴です。
| 作品名 | 作者 | 成立目安 | 内容の要点 |
|---|---|---|---|
| 土佐日記 | 紀貫之 | 935年頃 | 男性が女性に仮託した最初の仮名日記。土佐から京への帰路 |
| 蜻蛉日記 | 藤原道綱母 | 10世紀後半 | 女性による最初の自照的日記。夫との結婚生活の苦悩 |
| 和泉式部日記 | 和泉式部 | 11世紀初 | 敦道親王との恋愛を歌のやり取りで描く |
| 紫式部日記 | 紫式部 | 11世紀初 | 中宮彰子の宮廷生活の記録。清少納言批判で有名 |
| 更級日記 | 菅原孝標女 | 1060年頃 | 物語への憧れから晩年までの回想録 |
| 十六夜日記 | 阿仏尼 | 鎌倉時代 | 所領相続の訴訟のため京から鎌倉へ下る紀行的日記 |
三大随筆 比較
成立順は「枕草子(平安)→方丈記(鎌倉初期)→徒然草(鎌倉末期)」。清少納言と紫式部は同時代のライバル的存在として対比されやすいことも押さえておきましょう。
復習問題 全10問
Q1「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて」という書き出しを持つ作品と、その作者を答えよ。
Q2藤原兼家との結婚生活の苦悩を描いた、女性による最初の自照的日記文学は何か。
Q3菅原孝標女が、少女時代から晩年までを回想して書いた日記は何か。
Q4枕草子の作者と、その作品を貫く美意識を表す言葉を答えよ。
Q5方丈記の冒頭で語られる五つの災厄のうち、二つ挙げよ。
Q6「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて」で始まる作品の作者は誰か。
Q7三大随筆を成立の古い順に並べよ。
Q8敦道親王との恋愛を、和歌のやり取りを中心に描いた日記文学は何か。
Q9次のうち、随筆と日記の違いの説明として正しいものを選べ。
①随筆は必ず出家後に書かれる ②随筆は出来事の記録という枠に縛られず自由に書かれる ③日記は必ず女性が書くものである
Q10所領相続の訴訟のため京から鎌倉へ下る道中を描いた、阿仏尼による作品は何か。
累積復習 Day1より3問
前日の内容を忘れていないか確認しましょう。
C1竹取物語はどのようなジャンルの物語で、何と評されているか。
C2伊勢物語の主人公「昔男」のモデルとされる歌人は誰か。
C3源氏物語の作者と、作品を貫く美意識の言葉を答えよ。
説話・軍記・歴史物語・和歌集
今昔物語集から平家物語、四鏡の時代トラップ、八代集の順番まで
今日のゴール
- 代表的な説話集・軍記物語の内容と特徴を説明できる
- 四鏡について、成立順と扱う時代の順番の違いを説明できる(最頻出の引っかけ)
- 八代集を成立順に言える
説話集―「今は昔」から始まる小さな物語の集合
今昔物語集(平安末期、編者不詳)は、「今は昔」という書き出しで統一された千余りの説話を、天竺(インド)・震旦(中国)・本朝(日本)の三部に分けて収める、日本最大級の説話集です。宇治拾遺物語(鎌倉初期)は今昔物語集と共通する話も多いものの、より庶民的で滑稽な話も収め、後の昔話の原型(こぶとり爺さんなど)を含むことでも知られます。ほかに、仏教的な発心・往生の話を集めた鴨長明の発心集、教訓性の強い十訓抄、幅広い分野を扱う古今著聞集なども覚えておきましょう。
軍記物語―戦乱を語り継ぐ文学
軍記物語は武士の戦いを主題にした物語です。将門記(平将門の乱を描く、現存最古の軍記物語で漢文体)を先駆けとし、保元の乱を描く保元物語、平治の乱を描く平治物語と続きます。最も重要なのは平家物語(13世紀前半頃)で、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という冒頭句とともに、平氏一門の栄華と滅亡を、和漢混淆文で語ります。琵琶法師によって「平曲」として語り伝えられた点も特徴です。室町時代に成立した太平記は、南北朝の動乱を描いています。
歴史物語―栄花物語から四鏡へ
歴史を物語風の仮名文で描くジャンルを歴史物語と呼びます。最初の歴史物語とされるのが栄花物語(藤原道長の栄華を編年体で描く)です。そして「〜鏡」と名のつく四作品、大鏡・今鏡・水鏡・増鏡をまとめて四鏡と呼びます。ここが今日いちばんの山場です。
四鏡の最重要トラップ―「成立順」と「扱う時代順」は違う
四鏡は、成立した順番と、作中で扱っている時代の順番が一致しません。これは入試で非常によく狙われるポイントです。
成立が古い順は「大鏡→今鏡→水鏡→増鏡」で、覚え方としてよく「おおいまみずまし(大今水増)」という語呂が使われます。大鏡(平安後期・院政期、藤原道長の栄華を批判的視点も交えて描く)が最初に成立し、今鏡(平安末期、大鏡の後を継ぐ)、水鏡(鎌倉初期)、増鏡(南北朝期)と続きます。
ところが、作中で扱っている時代の古い順に並べ替えると「水鏡→大鏡→今鏡→増鏡」に変わります。水鏡は神武天皇から仁明天皇までといちばん古い時代を扱っているのに、成立は大鏡より後です。大鏡は文徳天皇から後一条天皇まで、今鏡はその続きの後一条天皇から高倉天皇まで、増鏡は後鳥羽天皇から後醍醐天皇までを扱います。「成立順」と「時代順」のどちらを問われているかを本文でよく確認する癖をつけてください。
勅撰和歌集―八代集
天皇や上皇の命令(勅命)で編纂された和歌集を勅撰和歌集と呼びます。最初の八つをまとめて八代集と呼び、成立順に「古今和歌集→後撰和歌集→拾遺和歌集→後拾遺和歌集→金葉和歌集→詞花和歌集→千載和歌集→新古今和歌集」と続きます。特に重要なのは最初と最後です。古今和歌集(905年、醍醐天皇の勅命、紀貫之らが撰者、仮名で書かれた序文=仮名序を持つ)は最初の勅撰和歌集。新古今和歌集(1205年、後鳥羽院の勅命、藤原定家らが撰者)は八代集の最後を飾り、技巧的で幻想的な歌風で知られます。
| 成立順 | 作品名 | 成立時期 | 扱う時代の範囲 | 時代順での位置 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 大鏡 | 平安後期 | 文徳天皇〜後一条天皇 | 2番目 |
| 2 | 今鏡 | 平安末期 | 後一条天皇〜高倉天皇 | 3番目 |
| 3 | 水鏡 | 鎌倉初期 | 神武天皇〜仁明天皇 | 1番目(最古) |
| 4 | 増鏡 | 南北朝期 | 後鳥羽天皇〜後醍醐天皇 | 4番目 |
| 順 | 和歌集 | 勅命した天皇・院 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1 | 古今和歌集 | 醍醐天皇 | 最初の勅撰集。紀貫之らが撰者。仮名序を持つ |
| 2 | 後撰和歌集 | 村上天皇 | |
| 3 | 拾遺和歌集 | 花山院 | |
| 4 | 後拾遺和歌集 | 白河天皇 | 撰者は藤原通俊 |
| 5 | 金葉和歌集 | 白河院 | 撰者は源俊頼 |
| 6 | 詞花和歌集 | 崇徳院 | 撰者は藤原顕輔 |
| 7 | 千載和歌集 | 後白河院 | 撰者は藤原俊成 |
| 8 | 新古今和歌集 | 後鳥羽院 | 撰者は藤原定家ら。八代集最後。技巧的・幻想的歌風 |
四鏡の覚え方
成立順は語呂で「おおいまみずまし(大→今→水→増)」。ただし本文で問われるのが「成立順」なのか「扱う時代順(水→大→今→増)」なのかを必ず見極めること。水鏡だけが成立の割に古い時代を扱っている、という一点だけ覚えておけば残り三作は成立順=時代順で並ぶので迷いません。
説話集 と 歴史物語 の違い
復習問題 全10問
Q1「今は昔」という書き出しで統一され、天竺・震旦・本朝の三部からなる説話集は何か。
Q2「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」で始まり、和漢混淆文で書かれた軍記物語は何か。
Q3平家物語を琵琶の伴奏で語り伝えた人々を何と呼ぶか。
Q4四鏡を成立の古い順に答えよ。
Q5四鏡のうち、扱っている時代がもっとも古いのはどれか。
Q6藤原道長の栄華を編年体で描いた、最初の歴史物語とされる作品は何か。
Q7最初の勅撰和歌集の名称と、その撰者の一人を答えよ。
Q8八代集の最後を飾り、後鳥羽院の勅命により藤原定家らが撰んだ和歌集は何か。
Q9南北朝の動乱を描いた、室町時代成立の軍記物語は何か。
Q10次のうち、説話集に分類されないものを選べ。
①今昔物語集 ②宇治拾遺物語 ③大鏡 ④古今著聞集
累積復習 Day1・Day2より4問
忘れていないか、もう一度確認しましょう。
C1歌物語に分類される作品を一つ挙げよ。
C2源氏物語の宇治十帖とはどの部分を指すか。
C3清少納言が仕えた中宮は誰か。
C4三大随筆のうち、鎌倉最末期に成立し話題が最も多岐にわたるものはどれか。
官位・官職制度
位階のしくみ、摂政と関白、蔵人頭、国司と受領
今日のゴール
- 位階と官職の関係、公卿と呼ばれる範囲を説明できる
- 摂政と関白の違いを説明できる
- 受領・遥任など地方官のしくみを説明できる
位階と官職―貴族の序列
平安貴族の世界には、個人の身分を示す「位階」(一位から八位、その下に初位)と、実際の仕事を示す「官職」の二つの序列がありました。原則として位階に見合った官職に就く(これを官位相当制と呼びます)ため、位階が高いほど重要な官職に就けます。特に三位以上(および参議)は「公卿(くぎょう)」と呼ばれ、朝廷の最高幹部として扱われました。古文の本文で身分の高さを判断する手がかりになります。
太政官のトップたち
朝廷の政務を統括する最高機関を太政官と呼び、そのトップに太政大臣(常には置かれない最高位の名誉職的な位置づけ)、その下に左大臣・右大臣(左大臣の方が格上)、さらに大納言・中納言・参議が続きます。これらの高官が合議で政治を動かす様子は、源氏物語をはじめ多くの作品の背景になっています。
摂政 と 関白 ―似ているようで役割が違う
藤原氏が権力を握った摂関政治の中心にあるのが摂政と関白です。摂政は天皇が幼少・女性である場合に、天皇に代わって政務そのものを行う役職です。一方関白は、天皇が成人した後に、天皇の政務を補佐する(天皇に奏上する文書を事前に見る、という形で実質的に決定権を握る)役職です。つまり「天皇の代わりに行うのが摂政」「天皇を補佐するのが関白」という違いを押さえてください。藤原道長・藤原頼通の親子が摂関政治の全盛期を築いたことも合わせて覚えておきましょう。
蔵人頭と令外官
律令に規定のない役職を「令外官(りょうげのかん)」と呼びます。天皇の秘書的な役割を担う蔵人頭(蔵人所のトップ、蔵人はその部下)や、京中の治安維持にあたる検非違使はいずれも令外官です。蔵人頭は天皇と直接やり取りする花形の役職で、出世コースの一つでもありました。
国司と受領―地方に赴く貴族たち
地方の行政を担う官職を国司と呼びますが、実際には現地に赴任せず、代理人を送って収入だけを得る「遥任」も一般的でした。実際に現地に赴任して行政の実権を握る筆頭者のことを特に受領と呼びます。受領は徴税権を握るため経済的にはうまみが大きく、財を成す者も多かった一方、都の貴族社会からは一段低く見られる傾向もありました。更級日記の作者の父・菅原孝標が上総介として地方に赴任した経験なども、こうした国司の実態を知る手がかりになります。
| 官職 | 位置づけ |
|---|---|
| 太政大臣 | 最高位。常設ではない名誉職的な性格 |
| 左大臣 | 太政官の実質的トップ。右大臣より格上 |
| 右大臣 | 左大臣に次ぐ地位 |
| 大納言 | 左右大臣に次ぐ重臣 |
| 中納言 | 大納言に次ぐ地位 |
| 参議 | 公卿の末席。三位に満たなくても公卿として扱われることがある |
摂政 と 関白
国司 と 受領
復習問題 全8問
Q1三位以上の貴族(および参議)を総称して何と呼ぶか。
Q2太政官において左大臣と右大臣ではどちらが格上か。
Q3天皇が幼少のときに政務を代行する役職を何というか。
Q4天皇が成人した後、政務を補佐する役職を何というか。
Q5律令に規定のない後発の役職を総称して何と呼ぶか。蔵人頭や検非違使が該当する。
Q6天皇の秘書的役割を担い、出世コースの一つともされた令外官は何か。
Q7地方に実際に赴任せず、代理人を送って収入だけを得る国司のあり方を何というか。
Q8実際に現地に赴任し、行政の実権を握る国司の筆頭者を何と呼ぶか。
累積復習 Day1〜3より4問
C1四鏡のうち成立が最も早いものはどれか。
C2八代集の最初と最後の和歌集をそれぞれ答えよ。
C3方丈記の作者と、そこに貫かれる思想を答えよ。
C4宇津保物語はどのような点で「最古」とされるか。
年中行事・季節感
王朝の一年を彩る行事のカレンダー
今日のゴール
- 五節句とその内容を月順に言える
- 賀茂祭・除目・相撲節会など主要行事の内容を説明できる
- 行事が古文本文中でどんな場面で使われるかイメージできる
年中行事はなぜ古文常識として重要か
王朝貴族の生活は、季節ごとに定められた行事を軸に回っていました。古文の本文で「五月五日」「七夕」といった時期の記述が出てきたとき、それがどんな行事の場面かを知っていると、状況を素早くイメージできます。年中行事は単なる暗記事項ではなく、読解のスピードを上げるための地図だと考えてください。
正月から春―一年の始まり
正月には天皇が元日の儀式に臨み、七日には白馬(あおうま)を見て一年の邪気を払う白馬節会(あおうまのせちえ)が行われます。また、官職を任命する除目(じもく)は春(県召除目・地方官の任命)と秋(司召除目・中央官の任命)の二回行われる重要な人事行事で、除目の結果に一喜一憂する貴族の姿は多くの作品に描かれます。三月には曲水の宴(流れる水に杯を浮かべて和歌を詠む遊び)が行われます。
夏の行事―賀茂祭と端午
四月には京都・賀茂神社の祭礼である賀茂祭(現在の葵祭)が行われ、王朝文学に頻繁に登場する最重要行事の一つです。源氏物語「葵」の巻での車争いの場面はこの祭礼が舞台になっています。同じ四月には夏服に替える更衣(ころもがえ)も行われます。五月五日は端午の節句で、菖蒲を軒に挿すなどして邪気を払いました。
秋の行事―七夕と相撲
七月七日は七夕(乞巧奠〈きっこうでん〉、裁縫や芸事の上達を願う行事)、八月には力士たちが天皇の御前で相撲を取る相撲節会が行われます。九月九日は菊の花にちなむ重陽の節句で、菊の着せ綿など長寿を願う風習がありました。
冬の行事―新嘗祭と追儺
十一月には、その年の新穀を天皇が神々に供え自らも食する新嘗祭と、それに伴う五節の舞(若い女性が舞う華やかな行事)が行われます。大晦日には、鬼を追い払う追儺(ついな)、いわゆる「鬼やらい」の行事で一年を締めくくります。
五節句のまとめ
年間を通じて特に重要な五つの節句を五節句と呼びます。人日(正月七日)・上巳(三月三日)・端午(五月五日)・七夕(七月七日)・重陽(九月九日)の五つで、いずれも奇数(陽数)が重なる日に邪気を払う行事が行われる、という共通点があります。
| 時期 | 行事 | 内容 |
|---|---|---|
| 正月七日 | 白馬節会 | 白馬を見て一年の邪気を払う |
| 正月・七月 | 除目 | 官職の任命。春は地方官、秋は中央官 |
| 三月三日 | 上巳(曲水の宴) | 杯を流水に浮かべ和歌を詠む |
| 四月 | 賀茂祭 | 賀茂神社の祭礼。現在の葵祭 |
| 四月・十月 | 更衣 | 季節に合わせて衣服を替える |
| 五月五日 | 端午の節句 | 菖蒲で邪気を払う |
| 七月七日 | 七夕(乞巧奠) | 裁縫・芸事の上達を願う |
| 八月 | 相撲節会 | 天皇御前での相撲 |
| 九月九日 | 重陽の節句 | 菊にちなみ長寿を願う |
| 十一月 | 新嘗祭・五節の舞 | 新穀を神に供える。若い女性による舞 |
| 十二月大晦日 | 追儺 | 鬼を追い払う「鬼やらい」 |
賀茂祭が出てきたら
本文中に「祭」とだけ書かれている場合、平安文学では特に断りがなければ賀茂祭を指すことが多い、という慣習も知っておくと読解がスムーズになります。源氏物語「葵」の巻の車争いのように、祭見物の場面は人間関係のドラマの舞台としてよく使われます。
五節句 語呂
人日(1/7)・上巳(3/3)・端午(5/5)・七夕(7/7)・重陽(9/9)。上巳と端午と七夕と重陽は「月と日が同じ奇数」という規則性で覚えると忘れにくくなります。
復習問題 全8問
Q1官職を任命する行事を何というか。また、それは年に何回、いつ行われるか。
Q2四月に行われる、賀茂神社の祭礼を何というか。
Q3五節句のうち、五月五日にあたるものは何か。
Q4七月七日に行われる、裁縫や芸事の上達を願う行事の別名を答えよ。
Q5大晦日に鬼を追い払う行事を何というか。
Q6十一月に行われる、新穀を神に供える行事と、それに伴う若い女性の舞をそれぞれ答えよ。
Q7九月九日の重陽の節句にちなむ植物は何か。
Q8季節に応じて衣服を替える習慣を何というか。
累積復習 Day1〜4より4問
C1摂政と関白の違いを一言で説明せよ。
C2「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」の作品名を答えよ。
C3四鏡のうち、扱う時代が最も古いのはどれか。
C4「もののあはれ」を体現する作品とその作者は誰か。
恋愛・結婚・家族制度と生活信仰
通い婚から女房名の付け方、物忌み・方違え・出家まで
今日のゴール
- 通い婚のしくみと、後朝の文の役割を説明できる
- 女房名がどのように付けられるかを説明できる
- 物忌み・方違えなど陰陽道に基づく生活習俗を説明できる
通い婚―王朝の結婚のかたち
平安貴族の結婚は、現代のように一つの家に同居する形ではなく、男性が女性の家に夜通う通い婚(妻問婚)が一般的でした。男性が三夜続けて女性のもとに通うと結婚が成立したとされ、三日目の夜に「三日夜の餅(みかよのもち)」という餅を二人で食べる儀式が行われました。物語で男性が女性の家に忍んで通う場面が頻出するのは、この結婚形態が背景にあります。
後朝の文と垣間見
男女が一夜を共にした翌朝、男性が女性のもとへ送る和歌の手紙を後朝の文(きぬぎぬのふみ)と呼びます。早く届けるほど誠実な愛情の表れとされ、届くのが遅いと女性側は不安に思う、という心理描写がよく描かれます。また、男性が御簾やすだれの隙間から女性を覗き見て恋に落ちる、という物語の定型を垣間見(かいまみ)と呼びます。源氏物語で光源氏が若紫を垣間見て引き取る場面などが代表例です。
女房名はどう付けられるか
宮中や貴族の家に仕えた女性(女房)は、実名ではなく、父や夫、兄弟の官職名にちなんだ通称で呼ばれるのが通例でした。たとえば紫式部の「式部」は、父・藤原為時の官職「式部丞」に由来します(「紫」は源氏物語の登場人物・紫の上にちなむ後世の呼び名という説が有力です)。清少納言の「少納言」も、近親者の官職に由来すると考えられています。本名がほとんど伝わっていない、という点も入試で問われることがあります。
成人の儀式―裳着と元服
女子の成人を祝う儀式を裳着(もぎ)、男子の成人を祝う儀式を元服と呼びます。裳着では初めて裳(も)という装束を身に着け、これを境に結婚が可能な年齢と見なされました。元服では髪型や服装を大人のものに改め、成人としての名(諱)が与えられました。
陰陽道に基づく生活習俗
王朝貴族の生活は陰陽道の考え方に強く縛られていました。凶事が予想される日に外出や面会を控えることを物忌みと呼び、この間は自邸にこもって身を慎みます。また、目的地の方角がその日の運勢で凶とされる場合、いったん別の方角の家に一泊してから目的地に向かう方違え(かたたがえ)という習慣もありました。物語で人物が予定通りに動けない理由として、これらの習俗が背景に使われることがよくあります。
物の怪と出家
当時、原因不明の病気や心の乱れは、怨霊や生霊が取り憑いた物の怪(もののけ)の仕業と考えられ、僧侶による加持祈祷で祓おうとしました。源氏物語で六条御息所の生霊が葵の上に取り憑く場面は特に有名です。また、俗世を離れて仏門に入ることを出家と呼び、貴族女性が失恋や死別、無常を感じたことをきっかけに出家する場面は、王朝文学の定番の結末の一つです。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 通い婚(妻問婚) | 男性が女性の家に通う結婚形態。三日夜の餅で成立 |
| 後朝の文 | 一夜を共にした翌朝に男性が送る和歌の手紙 |
| 垣間見 | 物陰から女性を覗き見て恋に落ちる物語の定型 |
| 裳着 | 女子の成人の儀式 |
| 元服 | 男子の成人の儀式 |
| 物忌み | 凶事を避けて外出・面会を控えること |
| 方違え | 方角の凶を避けて一旦別方向に泊まってから向かうこと |
| 物の怪 | 怨霊・生霊が取り憑くこと。加持祈祷で祓う |
| 出家 | 俗世を離れ仏門に入ること |
女房名の由来
女房名は本人の実名ではなく、近親の男性の官職にちなむ通称である、という原則を覚えておくと、本文中で「〜の君」「〜の乳母」のような呼び方が出てきたときに混乱しません。
物忌み と 方違え
復習問題 全9問
Q1平安貴族の一般的な結婚形態を何と呼ぶか。
Q2結婚が成立したとされる、三日目の夜に食べる餅を何というか。
Q3一夜を共にした翌朝に男性が送る和歌の手紙を何というか。
Q4物陰から女性を覗き見て恋に落ちる、物語の定型的な場面を何というか。
Q5紫式部の「式部」という呼び名は、誰の何という官職に由来するか。
Q6女子・男子それぞれの成人の儀式の名称を答えよ。
Q7目的地の方角が凶とされるとき、一旦別方向に泊まってから向かう習慣を何というか。
Q8怨霊や生霊が取り憑くことを何と呼び、どうやって祓ったか。
Q9源氏物語で葵の上に取り憑いた生霊は誰のものか。
累積復習 Day1〜5より5問
C1受領とはどのような立場の官職か。
C2四月に行われる、王朝文学にしばしば登場する祭礼は何か。
C3八代集の最初に成立したものは何か。
C4枕草子を貫く美意識の言葉は何か。
C5現存最古の物語は何か。
総復習
全範囲を横断する実戦形式の問題で仕上げる
今日のゴール
- 6日間の内容を範囲を問わず即答できる状態にする
- 紛らわしいポイント(四鏡・三大随筆・摂政関白など)を確実に区別できる
- 間違えた問題を特定し、該当するDayに戻って復習する
最終日の使い方
今日は新しい知識を追加するのではなく、これまでの6日間で学んだことを総ざらいする日です。以下の実戦問題を、本番と同じ感覚で解いてみてください。間違えた分野があれば、対応するDayのページに戻って講義パートを読み直すことをおすすめします。最後に「差がつく識別ポイント」の総まとめも載せています。
- 作り物語 vs 歌物語:長編の虚構筋か、和歌中心の短編集合か
- 四鏡の成立順 vs 時代順:成立は「大今水増」、時代順は水鏡が最古
- 三大随筆:枕草子=をかし/方丈記=無常観+災厄/徒然草=無常観+処世訓
- 八代集:最初は古今和歌集、最後は新古今和歌集
- 摂政 vs 関白:代行するのが摂政、補佐するのが関白
- 国司 vs 受領:総称が国司、現地に赴任する筆頭者が受領
- 物忌み vs 方違え:家にこもるのが物忌み、経由地を挟むのが方違え
総合実戦問題 全15問
Q1次の作品を成立の古い順に並べよ。
①源氏物語 ②竹取物語 ③伊勢物語
Q2「男もすなる日記といふものを」の作者と、女性による最初の自照的日記文学の作者をそれぞれ答えよ。
Q3三大随筆のうち、五つの災厄の記録から始まるものはどれか。
Q4四鏡のうち、成立順では3番目だが、扱う時代は最も古いものはどれか。
Q5今昔物語集の三部構成を答えよ。
Q6八代集を成立順にすべて答えよ。
Q7天皇の政務を「代行」する役職と、成人天皇を「補佐」する役職をそれぞれ答えよ。
Q8次のうち令外官に該当するものをすべて選べ。
①太政大臣 ②蔵人頭 ③検非違使 ④大納言
Q9四月に行われる賀茂神社の祭礼を何というか。またこの祭礼が舞台になる源氏物語の巻名を答えよ。
Q10五節句を月日の早い順にすべて答えよ。
Q11結婚成立の儀式として三日目の夜に食べるものは何か。
Q12清少納言・紫式部の呼び名は、それぞれ誰の官職に由来すると考えられているか。
Q13凶事を避けて家にこもる習慣と、凶方位を避けて経由地を挟む習慣をそれぞれ答えよ。
Q14次の記述のうち正しいものを一つ選べ。
①落窪物語は歌物語に分類される ②受領は現地に赴任しない国司を指す ③新古今和歌集は八代集の最後に成立した ④枕草子は無常観を基調とする
Q15源氏物語で六条御息所の生霊が取り憑いた人物は誰か。またこうした現象を何と呼ぶか。
これで7日間の古文常識講座は完了です。ここまでの内容が即答できれば、GMARCHレベルの古文常識問題には十分対応できる状態です。あとは過去問演習の中で、個別の作品の本文に触れながら知識を上書きしていってください。
順番暗記まとめ
「並べ替えなさい」に即答するための語呂・覚え方集
今日のゴール
- 入試で頻出の「成立順に並べよ」問題に使う8系列をすべて即答できる
- 成立順と、作中で扱う時代順がズレるパターン(四鏡)を区別できる
- 語呂だけでなく、なぜその順になるか(時代背景)とセットで覚える
GMARCHレベルの古文常識では、単発の知識確認だけでなく「次の作品を成立順に並べよ」という並べ替え問題が非常によく出題されます。単語カード的に個々の作品を覚えるだけでは並べ替えに弱いため、ここでは各Dayで扱った作品群を系列=一本の順番として整理し直し、それぞれに語呂を付けました。表の下にある太字の項目が、間違えやすい「ズレ」のポイントです。
Fort様が挙げた「大今水増」がこれです。成立順はこの4文字のリズムで覚えれば確実です。
「並べ替えよ」と言われたら、まず設問文が成立順を聞いているか作中の時代順を聞いているかを最初に確認してください。ここを読み違えると全滅します。
最初(古今)と最後(新古今)だけは単独でも必ず即答できるようにしておくこと。設問の多くはこの二つの位置関係を狙ってきます。
源氏物語がこの系列の最終到達点であることが、Day1で扱った「二つの流れの統合」という位置づけと対応しています。
四鏡ほど有名ではありませんが、同じ構造で受験生が引っかかりやすいポイントを集めました。「なんとなくセットで覚えているイメージ」と「実際の事実関係」がズレている箇所です。
清少納言 と 紫式部は「同時代のライバル」ではない
二人はよく同時代に張り合ったライバルのように紹介されますが、実際には宮仕えの時期がほぼ入れ違いです。清少納言が中宮定子に仕えたのは995年頃〜1000年(定子の死)まで。紫式部が中宮彰子に仕え始めたのは1005〜1006年頃で、清少納言が宮中を去ってから始まっています。つまり二人が同じ時期に宮中に同席していた期間はほとんどありません。紫式部日記にある清少納言への辛辣な批評は、又聞きの評判や作品(枕草子)を読んだ上での人物評だと考えられています。
「三代集」と「八代集」は別の括り
「三代集」は「三大随筆」と字面・音が似ているため混同しやすい点にも注意してください。三代集は和歌集、三大随筆は随筆で、ジャンルがまったく別物です。
除目:春と秋、どちらが地方官か
「地方=都から遠い=後回し」という感覚的なイメージから、逆に秋が地方官だと覚え違えるケースが目立ちます。「県召=県(地方)を召す=春」とセットで覚えてください。
太政大臣は「一番偉い」が「常にいるとは限らない」
位階の序列だけを見ると太政大臣が最高位ですが、これは適任者がいなければ空席にしてよいとされる名誉職的な性格の官職(則闕の官〈そっけつのかん〉)です。実際に朝廷の政務を日常的に主導していたのは、常置の最高実務ポストである左大臣であることが多く、「位階の最高位=実権の中心」とは限らない点が古文本文の人物関係を読む上での落とし穴になります。
「今鏡」の「今」は現代という意味ではない
四鏡の中で最初に迷いやすいのが「今鏡」という書名です。この「今」は「現代の」という意味ではなく、「大鏡の後を継ぐ、続編としての鏡」という意味合いで付けられています。実際、今鏡は成立順で2番目(大鏡のすぐ後)ですが、扱う時代としても大鏡の直後(後一条天皇〜高倉天皇)を継いでおり、書名の由来が内容とも一致しています。